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この芝居には様々な見所があるが、派手で判りやすい見所は、舅殺しの立ち回りとクライマックスでの大立ち周りだと思う。
主人公である団七が物の弾みで欲深い舅の義平次を殺してしまう場面では、本水を使った泥の中での祭囃子をバックに大立ち回りが行われる。
ここでは、義平次の生と欲の執念がこれでもかこれでもかと表現されているようで。見ていてそら恐ろしくなるほどである。
その後、舅殺しという大罪を犯した団七が祭りの喧騒の中に現われる。
罪を犯した団七と威勢の良いにぎやかな太鼓に合わせて楽しく踊っている人々。
この祭りの場では、期せずして犯してしまった罪により団七がこの世で異質な存在になってしまったことを強調しているのではないかと思う。
クライマックスでは、たった一人で大勢の取手達を相手に大立ち回りが行われ、ばったりの音とともに決める見得を目にすると、歌舞伎とはこういうものだなとしみじみと感じ入るのである。
一太刀振るえば取手がトンボをきり、追い詰められた団七は梯子に登って見得を切る。圧巻である。
追い詰められた団七と、団七をなんとか逃がしてやろうと現れる義兄弟の徳兵衛、この二人の関係は現代では忘れ去られている、侠客の意地と粋の世界に生きる男のあり方を伝えてくれる。
実際に起こした殺人事件をもとに、人形浄瑠璃として書かれたこの芝居は必見である。
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